2011年11月21日
植草甚一もクリビツの江戸スクラップ全十六巻
本日公開の『八軒家かいわいマガジン』の最新号(通巻三十八号)「大坂の蘭学の祖は傘職人の息子だった!―橋本宗吉物語―」、もうお楽しみいただけましたでしょうか?(まだの方は、以下、ネタばれに注意してお読みください)。
今回の記事の柱になったのは、名高い大槻玄沢邸での「おらんだ正月」(旧暦十一月二十六日)の宴の余興に配られた「蘭学者見立番付」という一枚の番付表ですが、この現物が『芸海余波』と題されたスクラップ・ブックにほぼ完全な形で保存されています。
『芸海余波』は、江戸時代に製作された貼込帖(スクラップ…ブック)で、全部で何巻あるのか不明ですが十六巻が現存しています。一枚刷りのチラシや引札、地図、暦、番付や版画、珍しいと思われた商標類などを、あたりかまわず貼り込んであります。現物を早稲田大学図書館が蔵しており、その解説には
昭和23年に早稲田大学図書館が、「確堂文庫」の蔵書印のあるほかの幾多の書物とともに購入した。この貼込帖自体には蔵書印や所蔵者をしめす記録はないが、これも「確堂文庫」にあったものと考えられている。確堂とは美作国津山藩主松平斉民(1841〜1891)のことで、彼がみずから収集した資料を貼り込んだものであると推定される。
本書にあつめられた雑多な資料は、寛政年間より幕末にかけてのもので、西洋あるいは中国より渡来した商品の商標や西洋版画の模写、高名な蘭学者の筆跡などが含まれていることからみても、蘭学に熱心だった松平斉民と津山藩に深いかかわりがある。
本資料の中には、名高い大槻玄沢邸での「おらんだ正月」の宴の余興に製作されたと思われる「蘭学者見立番付」が含まれている。(早稲田大学図書館「古典籍総合データベース」)
とあります。
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↑いずれも『芸海余波』より。
左の写真左ページ下の「ROWLAND's MACASSAR oil」はヘアーオイルの広告。ルイス・キャロルのパロディ誌にも出てくる有名ブランドです。グーグルの画像検索で多数ヒットするので、コレクターズ・アイテムになっているようですが、こんなに古いもの(レタリング)は見当たらない。ひょっとして、お宝?
寛政年間の番付表が、幕末の斉民のコレクションに加わっているということは、番付の評価の高さを物語っているのではないでしょうか(津川)。
投稿者 tategaki : 11:24| コメント (0)| トラックバック (0)
