2008年11月03日

戦前ここにあった、ロシア正教会の「写真」を発見

先日、萩原理一さん(昭和4年生まれで、この辺にお住まいであった方)に話をうかがいました。
そのとき、いま北大江公園になっているあたりに、戦前ロシア正教(ギリシャ正教ともいう)の教会があったことをお聞きして、あっと驚きました。
ボクももう40年ほども、このあたりを行き来しているのですが、そんなことは夢にも思わなかったからです。



これが、現在の北大江公園。萩原さんの話によると、どうも向こうに見えるマンションのあたりに、教会があったらしい。
(この話はすでに南斎ブログで紹介されています)
しかし、いったいどんな形の教会があったのだろう?
興味がどんどん、ふくらんできました。
「写真などが残っていないのだろうか?」
と考えて、ネットで調べてみると、実はこの教会は1962年(昭和37年)に、大阪吹田市に再建されていることがわかりました。(現在は「日本正教会」という)
ここに行けば、何か手がかりが見つかるかもしれない…。

行ってきました。昨日の日曜日。
阪急電車・北千里線の豊津駅から歩いて5、6分のところに、現在の「大阪ハリストス正教会」がありました。



こちらもビザンチン様式を取り入れた建物ですが、木造であった先代のものとは、かたちが違います。
神父さんにお会いして、戦前の教会のことをおたずねしました。
「私も前の教会のことは知らないのですが、写真ならたしか1、2枚残っていたと思いますよ」
「えっ、ありますか? ぜひ探してみてください」
とあつかましくもお願いして、お見せいただいたのがこの写真。
めったには見ることができない、貴重なものです。
ごらんください。



まさしく、木造のビザンチン様式。(とは、受け売りですが)
建物の左に八角形の鐘楼が見えます。
ということは、こちらが西側ということになります。
(ハリストス正教会の建物は、必ずそのように造られているのです)
したがって、手前に見える正門は、南に向いています。
ということは、現在の北大江公園のほうを向いて、この門はあったわけです。

もう一枚写真をお見せしましょう。
これは教会の内部、「聖障」と呼ばれるもの。壁というよりは、大きな「ついたて」と考えたほうが近いでしょう。



建物(聖堂と呼びます)の構成をちょっと説明しますと…
まず、玄関は西にあります。
この玄関の上に、鐘楼がのっています。
玄関を入ると、小さな待機所があり、その奥が儀式を行うメインホール。(聖所と呼びます)
この聖所の東正面にあるのが「聖障」です。
聖障の向こう側は「至聖所」と呼ばれるところで、宝座(祭壇)が安置されています。
ごらんのように「聖障」とは、たいへんに美しいもので、聖像(イコン) が上下三段に配置されています。正教会建築の、大きな特長のひとつです。


さて、親切な神父さんのご紹介で、西口さんという信徒の方にお会いすることができました。
西口さんは1930年生まれで、マルコという洗礼名をお持ちの方。
そのマルコ西口さんのお話の中に、思いがけないことがありました。
なんと、戦前天満橋にあった教会から、この新しい教会に移し替えたものがあるというのです。



そのひとつが、これ。
当時の鐘楼に吊り下げられていた鐘のうちで、いちばん大きなものです。
この鐘は、教会の建物が空襲で焼け落ちたさい、そのままズドンと地面に落下し、土に埋まった状態で発見されました。
信徒の方たちがこれを見つけ、ヒビが入っているものの、
「なんとか、鳴らせるのではないか…」
と考え、みなで「よいしょ、よいしょ」と掘り起こしたそうです。
重いものですから、地面から数センチ浮かせた状態で設置し、これを鳴らして、お祈りを捧げたそうです。



ここに見える棕櫚の木も、実は60年前の天満橋の教会から移植したもの。まわりいったい焼け野原のなかで、この棕櫚だけが奇跡的に、わずかに焦げただけで残っていたといいます。
教会の庭の片隅に植わっていたものです。
それから、手前にある石も、教会の庭にあったもの。いまでも、赤茶けた焦げ跡があります。



さらには、これ。
現在の教会の正門です。
この門の両側の石の柱も、前の教会から持ってきたものです。
古い写真と比べると、同じかたちであることがおわかりでしょう。

再建には、資金面はもちろんさまざまなご苦労があったとお聞きしました。
しかしこういったものを見ていると、
信徒の方の、
「復元へのあつい思い…」を、
ひしひしと、感じることができるようです。


           (先田新一)

投稿者 tategaki : 17:02| トラックバック (0)

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