2009年06月02日
佐藤雅美「楼岸夢一定」
北大江公園一帯は、戦国末期の古戦場だった。ここで信長軍と顕如軍が激突した。「本能寺の変」の十二年前。
長編時代小説「楼岸夢一定」は、直木賞作家の佐藤雅美が、蜂須賀彦左衛門正勝の生涯を描いている。
正勝は、「小六」の名で親しまれている。
天正四年、この地で、51歳のかれは門徒一揆の大軍に先陣を切って突っ込んだ。気がついたら敵の首を一番多くあげ、「楼岸一番の槍」と褒めたたえられる鬼神のごとき働きを信長の馬前で見せて、陣羽織を拝領した。
小六は、晩年ここに屋敷を立てて住み、病の床から、過ぎし日々を回顧する。楼岸の小六の屋敷は、淀川を借景として建てられている。
「久しぶりで淀川を眺めてみたい」と、小六はからだをおこした。
大阪築城に当たり、淀川の両岸に植えさせた木々が青々と色づいてきて、目にまぶしい。
そこへ、突如「うおー」と刀槍を合わせる何万もの雄たけびが、小六の耳朶によみがえった。
小説の題名の「夢一定」は、信長の好んだ小唄「死のうは一定 しのび草にはなにをしょぞ 一定かたりおこすよの」から来ている。
「一定」とは、「確かにそれと決まっていること」と字引にある。(南斎)
※八軒家南斎「その日その日のらく描き絵巻」より転載
投稿者 tategaki : 13:10| トラックバック (0)
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