2012年03月30日
三月の購入図書
『芭蕉全発句』山本 健吉(講談社学術文庫 二〇一二)

ともかくも芭蕉の全発句について、注釈を書き終えた。数えてみると九七三句である。ここでは私は、それらの発句を味わう上に、必要最低限のことを書き留めれば足れりとした。作品について、一篇の綴り方をつづってみても何になろう、というのが、その時の私の気持ちであった(本書「あとがき」より)。
『大阪繁盛記』鍋井克之(東京布井出版 新装・新訂版一九九四)

木村荘八の『東京繁盛記』にならって、大阪の街並のスケッチと、大阪に関するエッセイで構成されている。軽妙なタッチと“こってり”とした筆致が絶妙にブレンドされてぬけぬけと大阪人を批判したりしながらも大阪人の自負をぐっと押し出している。1960年に布井書房から発行されたものの新装・新訂版(Amazon「商品の説明」より)。
鍋井は、小出楢重、国枝金三、黒田重太郎とともに信濃橋洋画研究所を開設(一九二四)。大阪洋画壇の発展に尽くしました。
『小出楢重 』(新潮日本美術文庫 一九九七)

カラー図版32点収録。
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2012年02月29日
二月の購入図書
『上町学 再発見・古都おおさか』追手門学院上町学プロジェクト(追手門学院 二〇一一年)

↑『古都おおさか』と聞いて、どのように感じるだろうか。「意外だ」とか「なんで?」とか、いうかもしれない。古都と言えば京都や奈良の代名詞になっているが、大阪には古都のイメージは一般的にはない。けれども大阪はまさに古都であり、上町台地は古代以来の歴史と文化の宝庫といえる(中嶋昌彌)。
『大阪今昔歩く地図帖』井口悦男/生田誠(学研新書 二〇一一)

↑大阪の「今昔」を、明治期から昭和にかけての彩色絵葉書、写真、地図と、現在の同一視線で比べて楽しむお散歩ガイド。
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2011年12月01日
十一月の購入図書
『埋もれた港』千田稔(小学館ライブラリー 二〇〇一年)

↑舟運による流通の有利さが都市機能に大きく作用し、古代国家建設の際にも考慮された。しかし、気候や地殻の変動により港は水没してしまう。地形図など豊富な資料を駆使してその経過を追跡研究した気鋭の名著を再現(本書カバーより)。
『図説 地図とあらすじでわかる!邪馬台国』千田稔監修 (青春新書、二〇一〇年)

↑本書は(略)九州・畿内のどちらの説にも属さず、フラットな視点から邪馬台国、そして卑弥呼の時代を解説している。豊富な図版と平易な文章により、古代史に苦手意識をもつ人でも手に取りやすい一冊になっていることだろう(本書「はじめに」より)。
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2011年11月21日
これで覚えた!四ヶ月で、四万語。
史上名高い波留麻和解、通称『江戸ハルマ』である。

『江戸ハルマ』Bの巻表紙
↑解説:波留麻和解(はるまわげ)は寛政8年(1796)に成立したわが国最初の蘭和辞書である。蘭学者稲村三伯(1759-1811)が石井恒右衛門、宇田川玄随らの協力を得て、オランダの出版業者フランソワ・ハルマ Francois Halma(1653-1722)の著わした蘭仏辞典 Woordenboek der Nederduitsche en Fransche Taale, 1708 を底本として、オランダ語の見出し語一つ一つに和訳語をあてたものである。また、稲村三伯のものとは別に、オランダ商館長ヘンデレキ・ドゥーフの指導のもとに、同じハルマの蘭仏辞典を用いて中山得十郎、吉雄権之助らが文化13年(1816)に完成させた蘭和辞書を「ドゥーフハルマ」もしくは「長崎ハルマ」と通称し、稲村三伯のものはこれに対して「江戸ハルマ」と呼ばれる。「波留麻和解」はその後の蘭学の発達や海外文献の翻訳の進展に、おおいに与って力があり、大きな影響を与えた文化史的意義の大きな資料である。たとえば、オランダ語の「ナトゥール」(natuur)に、もともと中国語で道教的な意味を持っていた「自然」という訳語をあてたのも、この「波留麻和解」においてであり、西洋文明と近代文明を受容してゆく過程において、日本語を大きく変え、ひいては日本人の意識を変える原動力ともなった書物ということができる。(早稲田大学図書館「古典籍総合データベース」より。ママ)

同、Aの部分。
わが橋本宗吉(一七六三〜一八三六)は、大槻玄沢のもとで学び、たったの四ヶ月でこの辞書に掲載されたほとんどすべて(四万語)をものにしただけでなく、オランド語の構文さえもマスターしたといいます。「江戸版」と「関西版」があり、適塾の福沢諭吉は「関西版」を使用したと思われます(津川)。
詳しくは→八軒家かいわいマガジン「大坂の蘭学の祖は傘職人の息子だった!―橋本宗吉物語― 」
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2011年09月30日
九月の購入図書
『仏の畑の落穂―他』小泉 八雲(恒文社 一九八六年第二版)

↑本書は、「大阪」「生神」を含む『仏の畑の落穂』11編、『異国風物と回想』15編を収める。
八雲には、神戸在住、ジャーナリストという時期もあった。1896年4月に大阪を訪れ、「私には言葉で表せないほど大阪が気に入りました」そして「東京で10年間家賃なしという条件で暮らすよりも大阪で1か月暮らす方を選ぶ」と、友人に書き送った。八雲をとらえた大阪の魅力と、和歌山県を舞台とする作品「生き神」に込められたメッセージを探る―小泉凡「小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)のみた大阪」(大阪青山大学・公開講座 2009年7月19日開催)の案内より。
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2011年08月01日
七月の購入図書
『プリンセス・トヨトミ』万城目学 (文藝春秋 二〇一一)

↑秘密の扉が開くとき、大阪が全停止する!?万城目ワールド真骨頂、驚天動地のエンターテインメント、ついに始動(アマゾン「BOOK」データベースより)。
大阪国の国会議事堂(大阪城の地下)に通じる3つトンネルのうち、「京橋口」と呼ばれる出入口のあるビルは次のように描かれています。
京橋口と接する茶レンガ作りのビルに関しても、もちろん松平は調査済みである。あの建物は、ある建設会社の旧本社社屋だった。古めかしい外観のとおり、竣工は大正十五年。まさに、大阪議事堂が完成した年である。
「あの建物」とは、天神橋のたもとにあるルポンドシェルビル(旧大林組本社ビル)のことです。この小説に八軒家かいわいが現れるのは、残念なことに、この箇所だけですが、トンネルが大阪城に通じていることから、松平は、かいわいの地下をとことこと歩いて帰ってきたことになります。

↑大正末期に大林組の本社社屋として建てられた大型の近代建築。大阪が発祥地の大手ゼネコン大林組の本店ビルでした。さすがに建設業、設計は社内コンペで決定されたそうです。小田島兵吉が立案した平面計画に基づき、社内で設計競技が行われ、設計部員の平松英彦の作品が選ばれました(「レトロな建物を訪ねて」より)。
『漢学と洋学 伝統と新知識のはざまで』 (阪大リーブル024 懐徳堂シリーズ) 岸田知子 (大阪大学出版会 二〇一〇)

↑懐徳堂・適塾の知のネットワーク ! 漢文で学んだ知識人に、 西洋学問はいかに受けいれられたか。 江戸後期の大坂に芽吹く洋学の土壌がに漢学があったこと、それが 適塾をはじめとする幕末の蘭学の発展の一要因となることを、佐久 間象山、中井履軒などの思想と学問を通して探る(アマゾン「内容紹介」より)。
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2011年07月14日
記号論としての大阪の歴史『プリンセス・トヨトミ』を読む
『プリンセス・トヨトミ』万城目 学 (文藝春秋 二〇一一)

ご無沙汰です!
最近「プリンセス・トヨトミ」を電子書籍で読みました。大阪の歴史に少しでも興味があるものにとっては、面白いですね!○○さんは最近大阪のこういう歴史にも関連する活動をされているようなので、メッセージを送りたくなりました。ひょっとして、「大阪国」の幹部だったりして?
ちょっとレビュー的なものを書いてみました…。またいろいろ教えてください。(Masa Fukata)
++++++
この著者の前作であるベストセラーは読んではいなかったが、電子書籍として出版されている本の中で面白そうなタイトルだったので選んでみた。
とにかく、面白い。テンポのいいストーリーテリングで語られるその物語には、記号論としての大阪の風物がふんだんに折り込まれている。その一つ一つが面白く懐かしい。ネタバレになるので挙げないが、大阪で生まれ育った人にとっては人生のいろいろな瞬間に語り継がれている不思議な小ネタばかり。
大阪人ではなく京阪神の周辺の都市で生まれ育ったボク(神戸人)のような者にとっては、これまでつきあいのあった大阪生まれの女の子達に何気なく教えてもらったことばかりである。
「そんなすごいこと、なんでメディアで取り上げられていないのに知ってるの?」
「大阪で生まれ育った女の子なら誰でも知ってるで」
ということが今までの人生で何度ともなく起こった。
そういう非常にユニークな文化圏である「大阪」には、これぐらいの「公然の秘密」があってもおかしくない。というより、これに限らず他にももっともっとありそうである。近ごろそういう大阪の秘密がごろごろボクの目に留まるようになってきた。
例えば「上町台地」は最近になって、なぜ「上」なのか?と言う問題がネット上で取り上げられていた。いわく、大阪の町は標高が高い東側が「上」とされ住民に認識されていたこと。上町台地の東端の難波宮が大阪では一番高い位置にあり、そこから「坂」で海に面していたこと。その坂が「大坂」の「坂」。その海辺の中心的な位置に建てられているのが四天王寺。中国・朝鮮からしきりに文化輸入を図った当時、ここが国際港湾都市であったことは想像に難くない。
古代から飛鳥・奈良時代の難波宮や四天王寺の時代に続き、次に来る大阪の大きなミステリーの山場はもちろん豊臣時代。この小説がそこからさらに現代につながるストーリーに仕立てているのは大阪の歴史を知るものにとって、大変ロマンを感じるところである。小説の中に触れられている大坂城の堀の配置や真田山についてもまだまだ怪しさは格別である。
個人的には、豊臣時代の次に来る大阪の次のミステリーの山場は、明治維新後第二次大戦までで、近代工業化社会の到来に合わせて様々なネタが転がっている。例えば、天六に作られた巨大なターミナルビルであり、近年残念なことに解体された京阪天六ビル。京阪が梅田に乗り入れる計画があったことを示唆する天満、桜ノ宮、京橋の駅付近の土地利用。旧京橋駅がもともと東にあったことを示す商店街の立地。さらに日本陸軍大阪砲兵工廠が置かれた大阪城周辺。立入禁止で現存する赤レンガの化学分析工場跡。なぜか1980年代まで開発されなかった大阪砲兵工廠跡地(現OBP)。この歴史については今でも多くが明らかにされていない。
というわけで、片っ端から大阪の怪しい歴史に触れているこの物語は、大阪と言う町のユニークさの原点としてこの秘密の存在を匂わせている点が大変興味深く、またこの物語に出てくる人名などの固有名詞、大阪の歴史文物などすべてが記号論的に何かを示唆しているなど、二重三重に楽しめる内容となっている。
近年の歴史ブームもあり、やっと出てきた大阪についての歴史エンターテイメント小説。特に京阪神で生まれ育ったか、または人生の一時期大阪で過ごしたことのある人には大変楽しめる物語と思う。
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2011年07月01日
六月の購入図書
『続・大阪古地図むかし案内―明治〜昭和初期編』
本渡 章 (創元社 二〇一一)

↑明治〜昭和初期の近代古地図を題材に、「読み解きスタイル」という見応えと読み応えを兼ね備えた独自の趣向で、大阪の地誌や暮らしを探る案内書。市街図から鉄道路線図、パノラマ図、観光案内図まで、多種多彩な地図の細部を解読する面白さを味わいながら、大阪各地の歴史・地理・文化がわかる本。折込み古地図の付録つき(「BOOK」データベースより)。
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2011年04月28日
四月の購入図書
『「水都」大阪物語【再生への歴史文化的考察】』橋爪紳也(藤原書店 二〇一〇)

↑多数の貴重な図版で描く、「水の都」の歴史・現在・未来
文明の源であり、人間社会の生命線でありながら、他方では、人々の営みを一瞬にして破壊する恐るべき力をもつ「水」。水と陸とのあわいに育まれてきた豊穣な文化を歴史の中に辿り、「水都」大阪再生へのウィジョンを描く(本書帯文より)。
『歴史群像シリーズ【決定版】図説 よみがえる名城漆黒の要塞 豊臣の城』(学習研究社 二〇〇八)

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2011年03月30日
三月の購入図書
『EXPO70』中和田ミナミ(ダイヤモンド社 二〇〇五)

『岡本太郎と太陽の塔』平野 暁臣 (小学館クリエイティブ 二〇〇八)

テーマ展 南木コレクションシリーズ第十一回
『幕末大坂の事件史・災害史』大阪城天守閣(二〇一一)

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